GMARCHに代わるGMARN、東京一工に代わる大東京一工などを世に提言した教育のスペシャリスト。国立の偉大さを語らせたら右に出る者はいない。中央大学時代は言論の自由を掲げ、不条理な大学の仕組みに挑むも大敗、停学に陥る。
僕がステハゲにハマったのは二年前。それは彼女がいたからだ。
彼女とは高校の入学式の頃に出会った。大人しい女の子だった。対して僕は運動部に所属しており、大人しいという文字とは無縁の毎日を送っていた。交わるはずのない二人。僕が教室の隅にいるのなら彼女は反対の隅にいる。初対面の彼女に対する僕の印象は無であった。
当時の僕に今の僕の彼女への想いをタイムマシンで伝えることが出来たならきっと当時の僕は目を丸くして驚くのだろう。
「なぁ……お前何見てんの?」
彼女と始めて交わした会話は今でも忘れない。彼女と隣の席になった一年の夏。席替えで彼女と席が隣になった。彼女は授業中だと言うのに筆箱でスマホを隠して動画を観ていた。
その動画では桜の下でおっさんがビールを片手に何かを歌っている動画だった。こんな大人しそうな女の子がおっさんの動画を授業中に堂々と。僕の声はイヤホンという壁に遮られて彼女には届かなかった。声は誰の耳にも入らず教室の天井まで飛んで静かに割れた。
僕は誰にもバレないように彼女の机を叩いて届かなかった言葉をもう一度言ってやろうと少しだけ席を立ち上がって彼女の席に向かって手を伸ばした。その時だった。彼女は動画のおっさんを見てニコッと笑った。
心臓の止まる音がした。それと同時に体はその体勢から止まった。徐々に今やってる事が何故か恥ずかしくなってそっと座って伸ばしていた腕を体の前に戻した。恥ずかしくて体が熱くなった。
「ど、どうしたんですか?」
バレていたんかい……。俺はもっと体を熱くした。ぎこちない動きで彼女を見た。そこには吸い込まれそうに綺麗に澄んだ瞳。高い鼻。柔らかそうな唇。黒髪のショートの女の子。入学して四ヶ月。初めて彼女の顔を真剣に見た。こんなに可愛い子を俺は今まで気づかなかったのか……。体のどこかが崩れる音がした。体が熱いのは夏のせいではなかった。
「そ、そのYouTuber。ぼ、僕も好きです……」
「え!ステハゲ観てるんですか?ステハゲなんて見てるの、私だけだと思っていました!」
彼女との会話は楽しかった。そしてその時、初めて僕はステハゲの存在を知った。最初は彼女との会話を作るために帰ってからとにかく見漁った。それは苦ではなかった。
「この動画が面白いですよね」
「あの動画もいいですよ!」
「ありがとうございます!今度見てみます!」
いつの間にか僕らは高校生活を共に過ごすようになった。僕は彼女の全てを知りたかった。だからステハゲ以外の事も話すようになった。愛を伝えるようにもなった。愛を育むようにもなった。二人でいつまでも一緒にいるつもりでいた。
二年後の今日。彼女はもう隣に居ない。残っているのは儚く消えた愛の残り香と、今も居心地悪く頭の隅に残っている想い出の数々であった。
もう面白いという感情だけではなく虚しい感情も込めて今日もステハゲの「粉雪」を聴くのであった。
受験勉強の中、
ステハゲとコメント欄のコンビネーションが
天才すぎて笑わせてもらってる
子育て頑張れよ
応援してる
ちなみに人間性は、1
人間性で低評価をつけている人が多いが、決してそんなことはない。
彼の生き様にこれだけ多くの人間が心を動かされた。彼がニコニコ動画への
投稿をスタートさせなかったら、我々人類は少しだけつまらない人間ばかりだっただろう。
ステハゲは視聴者に笑いも、元気も、感動も届けていない。
しかし我々は彼を「伝説」と呼ぶ。しかし彼の動画は、我々を全人類一人一人に与えられた「おふざけ」
の心へと回帰させる。ステハゲは動画を通して、「何が面白いかは自分で決めろ」というメッセージを与えているのだ。
まじで受験期に元気を与えてくれたメシアだと思う。当時の彼の大学に対するひねくれようはキモイを超えて面白かった。今もなおある程度の再生数を稼いでることから彼のカリスマ性を感じる。
精神的に辛い時、この方の動画を見ると全てがどうでもよく思えてくる。同じように救われた人も数しれない。これをふまえると、彼こそがYouTubeの王と言うべき存在であろう。