ただの皮肉家で理屈っぽいヒョロガリ陰キャ眼鏡かと思いきや、落ち着いていて品があるし、言葉が絡むものはべらぼうに上手い。だからイキったキモヲタを見た時の様に「キモ~」とならずに安心して観られる。 インターネットスラングを乱用しないのも好印象。だけどちゃんとノリも良い。 彼のことはオモコロから知った。今は小説こそ買っていないものの、ラジオや彼の管理するディスコードサーバーを片手間に追っているから、そこそこ見ている方に入ると思う。 オモコロだけを見ているとき時はさして注目していなかった(菓子盆選手権の審査が上手い人、くらいの認識だった)が、数年前から始まったオモコロのYouTubeで動く彼を見て、あの狂気の集団で生きていけるのだからやはり狂人なのだと思った。 知識や観察眼に富んでいることは分かっていたつもりだが、それと同じくらい思考を面白さに変換して口に出すのもとても上手だと感じた。 即興でなんとなくあるあるを感じる「ない話」や、物事の核心を突いた発言、丸っきりの「屁理屈」といった話が巧いことからそう感じる。 それと、彼はよく「性格が悪い」と揶揄されているが、それには違和感を覚える。 慣れない飲酒をしたときのラジオや、彼の運営するディスコードサーバーで拝見する限り「性格が悪い視点」や「性格の悪いフリをすることで、性格の悪い人を間接的に笑っている」だけで、性格はべつに人並みだろうと思っている。 むしろそれは、裏を返せば「人間の嫌なところをえぐり出す観察眼と表現力がすごい」ということだろう。 あと、何かの動画で見た、ダ・ヴィンチ・恐山を「インターネットのアメンボ」と喩えた言葉が的確過ぎてよく覚えている。見た目もアメンボっぽいし雰囲気もそれっぽい。 欠点と言ったら、コメント欄に甘ったるい目線で「ざんち(恐山の愛称)可愛い♡」と言う感じのコメントがあることだろうか。 しかし料理人から炎上系のYouTuberまで、大体こういうキモい女性ファンは沸く。私はもうこれは常だと割り切って流している。 ただ、そんな過激な女性ファンもこちらから探さなければそれほど目立たないのはすごいと思う。こういうYouTuberはコメント欄が開きたくなくなるほどの惨状なのがほとんどなので……。 あと過度なミスが多い。彼のトラック運転ゲームの配信はあまりにもプレイングが酷すぎて、「見ながら寝ると悪夢を見る」ともっぱらの噂だが、本当だ。私は見た。心底、彼が運転免許を持っていなくてよかったと思う。 そういった部分も、彼がそういう人間なのだと思っていればまだエンタメとして面白がれるが、ダ・ヴィンチ・恐山という人間を見慣れていないと真顔で「なんだこいつは」となってしまうだろう。 こう考えると、そういえばとても面白かったなと思い出したので、今度は彼が出している「止まりだしたら走らない」を買って読んでみようと思っている。