おじさんである。しかしただのおじさんではない。
ビジネスの関わらない一般人には気のいいおじさん。そう思わせるのがヤクザの基礎的な振る舞いであり、時折キレ芸を披露する際の非常になめらかな罵詈雑言の語彙と滑舌に本職を感じて、大変安心する。
フェミ騎士と揶揄されている方もいるが、いつの時代もヤクザは男尊女卑でないと生きていけないものだ。事実として時折その価値観が漏れる。しかし、現代の価値観へアップデートしようとする姿勢や、最大限言葉を選んで話す様子は純粋に尊敬する。
ネタが尽きた感じはする。昔ほどヤクザはニュースに上がらない。また、本人の経験からくるネタは、どうしても反社会的な話題が多い。規制が厳しい現在、そうそう何度も擦れるものではない。時流に乗るのは仕方ない部分もあると思う。
それでもアンダーグラウンドな社会層に存在した人間として、一般人にはなかなか持ち得ない特異な視点を持っている。1日何度も動画を更新する熱意や継続力には脱帽する。
特殊な道を歩んできた人生の先輩、世俗的な言い方をすれば「おじさん」の一意見を聞くコンテンツとして興味深い。配信者としての経験値は高く、テーマからそれず自分の話をしすぎない所は好感度が高い。
他下げになってしまうが「おじさん」の提供する動画コンテンツは①自分語りの割合が高く②自省があまり見られず③価値観が古いことを開き直るものが多いように感じる。
アウトローを売りにするYouTuberにもありがちなことだ。自分のやらかしについては無言で通したがる。それがないのは稀有であり、本人の真面目な性格の表れなのだろう。
キャラ絵は若すぎる。顎と首が細すぎる。しかしヴィジュアルを売りにする芸風ではないから問題にならない。字幕は毎回付けてほしい。頼むから話題別の再生リストを作ってほしい。動画がありすぎて「前に言っただろ!」と本人がキレていた動画を探しても容易に辿り着けない。編集氏は大変だと思うが、途中からチャンネルを観始めた者に取っては無手でバーリトゥードに放り込まれるようなものだ。何とかしてほしい。
コラボ番組のあるかなえ先生との対談では、いつもおとなしく感じてしまう。毎月1回はイチャイチャプロレスしているのが微笑ましい。イチャイチャを喜ぶファンには、懲役太郎の名前の元ネタがわからない視聴者も多く感じる。それでいい。それが良い。